『あやしい秘密基地まぼろし博覧会』に足を踏み入れてみる

  • 2015.09.08 Tuesday
  • 14:35
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「『まぼろし博覧会』と『怪しい少年少女博物館』へ行きましょうよ」
「それはどこにあるんだ?」
「伊東っす」
「はあ?おまえ今どこにいると思ってんだ?伊東は東伊豆だぞ、全く逆方向じゃねえか!」
「でもどうしても行きたいっす。ほら、地図で見るとそれ程距離も無く…」
「ばかやろう。縮尺いくつだと思ってんだよ。ここからだと峠越えて山道走って結構距離あんだよ!」
「うちも行きたい…♪」
日程を変更し、井苅は雨の降る峠道を走り屋の如くレンタカーで攻めて何とか伊東へと時間内に到達したのです。
「井苅さん、ここっす!」
見れば林の中に忽然と現れる異様な空間。
西雑司が谷遠足同好会一行はあやしい秘密基地まぼろし博覧会へと足を踏み入れたのでした。

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いったいこの施設が何であるのか一切の予備知識も無く足を踏み入れた井苅は、階段に並ぶ奇怪な人形たちにまずは驚き、そしてかつては植物園であったと思しき建物の中に佇む聖徳太子像の巨大さに息を飲みます。
更に進むとあやしいとしか形容できないマネキン人形が当時出版された書籍や生産された物品の中でポーズをとっています。
一応は年代別時代別に展示されている模様です。
しかし雑然とゆるい秩序で積み上げられている感は否めません。
館内は連日の悪天候のせいで雨漏りが多発していて足元に大きな水溜まりが何か所も散見されるのです。
「いったいこれは何なんだ?」
不可解な気持ちを抱きつつも、サブカルやレトロが大好物である井苅たちは水溜まりを避けつつ先へと進みます。

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楽しみつつも数ある展示品を見ていて感じていた違和感。
それは何かと考えてみると、どうもここに並んでいる物は廃棄物ではないか。
廃棄物、即ちゴミ…。
意図的にコレクションとして、研究対象として蒐集されたものでは無く、なんとなく購入したり貰ってきたりその辺で拾ってきたり…。
人間が生活を営む上で、趣味とまではいかなくても娯楽として購入した物が時間の経過と共に不必要な物となってしまう。
不必要な物が遺棄され、新たな物品が新たな娯楽品として購入され、消費され飽きられ遺棄される。
大層な言葉で表現すれば、その文明その文化のサイクルがここに現れているのではないかと井苅は感じたのです。
そこまで考えてもある種違和感が残ります。
それはなんであるかと気にしつつも一行は先へと進みます。



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次なる展示スペースに足を踏み入れ井苅は気が付きます。
そこにはかつて必要とされていた時とは全く違った形に再構成され展示されているマネキンをはじめとする物品の数々。
それはもはや物品に対する凌辱と言っても過言では無いレベル。
なるほどそう言うことか、ここは消費され廃棄された物品を文字通り“おもちゃ”にして晒し物にする施設であったか。
おそらく製作者も自覚していることであろうが、ここに並んでいるものは決して“作品”と呼べるような代物では無いのです。
その個々人の嗜好によって弄ばれた物品の成れの果てである。
時代に消費された物品の並んだ展示コーナーと比べれば、このコーナーはそれが顕著に表れていたのです。
そこで井苅が共通性を感じたのは昨夜の出来事でした。

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「井苅さんこれってもう要らないものっすか?」
帰還兵くんが指差したのはかれこれ製造されて30年以上は経つだろうか、マヨネーズ会社の景品か何かで貰ったキューピー人形です。
かつては大切にかわいがられていましたが、いたずら盛りの井苅が油性ペンで落書きしてしまって以降は本棚の隅に追いやられ忘れ去られていた品物でした。
「別にいいけどそんなもんどうすんだ?」
「いやあ、某所の玄関に飾ろうかなと。いま熊の剥製もあるんっすよ」
「……」
「もっといろいろ描いて呪いのキューピー人形にして…。あ、白虎夜くんもどうっすか?」
「赤い油性ペンあります?」
楽しそうにキューピーを呪いの人形に仕立て上げる二人。
この人形、今では都内某所の某住宅の玄関で、熊の剥製や呪いの藁人形と共に近隣住民に話題を提供していると言う。
棄てられ拾われ本来と異なる形で弄ばれて晒される…。
スケールの大小はあれど本質は同じではないかなと井苅は思ったのでした。

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ひと通り急ぎ足で眺めてみて、これ程の物品を集めながらも展示者が物品に対して全く愛情を感じていないことに井苅は驚愕します。
展示者は不用品を集めること、弄りまわして遊ぶこと、それをいかに面白おかしく展示(晒しものに)するか、…その点に歓びを見出しているのです。
「こりゃあ、今敏の映画『パプリカ』の悪夢のパレードだな」
遺棄された物品が意思を持って怒涛の如く押し寄せるあの映画のワンシーンを思い出さずにはいられません。

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「井苅さん、そろそろ行かないと時間が無いっす」
「え?まだもう少し見てまわりたいんだけど…」
「怪しい少年少女博物館も行かないと♪」
眩暈を憶えるような他者の欲望と妄想と狂気の悪夢の空間。
凌辱され晒される品々を眺めているうちに、いつの間にか他者と自分の境界があやふやとなり、やがて自身の悪夢へと溶け合うのです。
「また今度時間を作ってここをメインで来ようなあ」
名残惜しそうに西雑司が谷遠足同好会一行はあやしい秘密基地まぼろし博覧会を後にしたのでした。



(27.10.12)






 

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