「香港とマカオに行ってきたとか…」
「はい、行って来ましたよ」
「まずは無事なご帰国なにより…」
「どういたしまして」
「で、あちらの状況をざっとで良いんでお尋ねしたい…」
「状況とは?」
「とりあえず法輪功なんですが…」
「法輪功か。普通に活動してた。しかも日本で見かけるような感じそのままに」
「随分と大っぴらな…」
「香港島の海洋公園(Ocean Park)に行こうと金鐘駅(ADMIRALTY)のバス乗り場へ行ったんだけど、その途端これだ」
「『大紀元時報』ですか。日本でもよく配ってる…」
「あと、『法輪大法好』とか言うのも配ってた」
「で、別の日だがランタオ島の天壇大仏に行こうと東涌駅で降りてロープウェイに向かうとこれだ」
「法輪功は邪教だから香港から出ていけと…」
「『香港青年關愛協会(HONGKONG YOUTH CARE ASSOCIATION LIMITED)』なる団体が横断幕を掲げていた。この緑の服が彼らのユニフォームらしい」
「この団体、確かバックが中共のアンチカルト組織かと。法輪功のみならずあちこちで当局の意向に沿わない団体とトラブルを起こしているらしくて…」
「彼らを眺めながらロープウェイに進むと何やらビラを渡そうとしてくる者がいる」
「まさか…」
「そう、香港青年關愛協会の向かい側には法輪功が」
「…て、向かいどころじゃないじゃないですか…」
「そう、横断幕陣取り合戦がそこでは穏やかに繰り広げられていた」
「穏やかには見えませんが…」
「いや、穏やかだったよ。別に横断幕の撤去とか構成員同士の小競り合いとか無かったし」
「香港青年關愛協会と法輪功の横断幕が交互に幾重にも並んでますね…」
「そう、相手より前に横断幕を掲げようとした結果がこの状態」
「なるほど…」
「ロープウェイの駅周辺の道路は双方の横断幕だらけだった」
「おや?更によく見ると最寄りの観光地の広告まであって何ともカオスな…」
「さて、またまた別の日、今度はマカオの聖ポール天主堂跡の横、モンテの砦の脇あたりなんだが」
「ここにも居たんですか…」
「香港で遭遇したのに比べれば小規模だったけど」
「しかしそれなりにお店をひろげてますね…」
「あとはまあ、これは法輪功との関係はよくわからないけど、CTM (蒙福之旅福音事工
China Tourist Ministry)とか言うキリスト教団体が案内書を観光客相手に配っていた」
「頭に傘被ってサングラスに妙なTシャツ、そして迷彩パンツとは奇妙な…」
「更に謎だったのが、セナド広場に陣取っていたこのおじさん」
「赤い人民服?YMOですか…?」
「いや、よく見ると人民服では無いし、実はYMOのアレも本当は人民服ではないんだけど」
「『維權』の腕章をしているので、この人は民主活動家と思われ…」
「これがまた大きな音量で演説の録音を流してるんだな。本人はへらへらしながら椅子に座ってるだけなんだが、観光客がカメラを向けるとポーズ取ったりしてご機嫌だった」
「これは蛇足だけど、九龍のホテルに泊まったんだけど『アル・ジャジーラ』が観れるんだよ」
「ムスリムとか中東の人とか多いですからねえ…」
「九龍公園の前にはモスクもあって、いかにもそのまんまな人もけっこう見かけたよ」
「そのまんまとは…?」
「スーパーに買い物行ったら、ひげを生やしたアフガンだかイランだかそのあたりの伝統的衣装の人が何人か居たりしてさ」
(24.10.26-26)